会社員エンジニアの副業確定申告ガイド|20万円ルールの落とし穴から経費・住民税まで
フリーランスエンジニア|エンジニア歴14年|正社員 × フリーランス × 技術顧問
会社員をしながらフリーランス案件を受け始めた。報酬が振り込まれて「副業って意外と稼げるな」と思った矢先に気づく。
「確定申告、どうすればいいんだ?」
会社員なら年末調整で済んでいた税金の手続きが、副業を始めた途端に自分ごとになります。しかも、ネットで調べると「20万円以下なら申告不要」という情報が出てくる。でも、これには大きな落とし穴があります。
この記事では、会社員をしながらフリーランス案件を受けているエンジニア向けに、確定申告の実務を解説します。完全に独立したフリーランスの確定申告については確定申告ガイドで解説していますので、あわせてご覧ください。
「20万円ルール」の本当の意味
所得20万円以下なら確定申告は不要...だが
副業の所得(収入 − 経費)が年間20万円以下の場合、所得税の確定申告は不要です。これが「20万円ルール」です。
ここで言う「所得」は収入ではなく、経費を引いた後の金額です。
ただしこの免除には条件があります。給与収入が2,000万円以下で、給与の全部について源泉徴収(または年末調整)がされていることが前提で、そのうえで給与・退職以外のすべての所得の合計が20万円以下であることが必要です(所得税法121条1項1号)。給与を2か所以上から受けている場合も、従たる給与と他の所得の合計が20万円以下なら申告不要になる別のルートがあります(同項2号)。
見落とされやすいのは「給与・退職以外のすべての所得の合計」という点です。判定するのは副業所得だけではありません。副業15万円に暗号資産の利益10万円が加われば合計25万円となり、申告が必要になります。
| 例 | 副業収入 | 経費 | 所得 | 確定申告 |
|---|---|---|---|---|
| A | 30万円 | 15万円 | 15万円 | 不要 |
| B | 25万円 | 3万円 | 22万円 | 必要 |
| C | 100万円 | 85万円 | 15万円 | 不要 |
20万円以下でも、還付申告をするなら申告に含めなければなりません
「20万円以下だから申告不要」は、申告義務がないという意味にとどまります。医療費控除やふるさと納税(ワンストップ特例を使わない場合)などで確定申告書を出すのであれば、その20万円以下の副業所得も申告書に含める必要があります。
還付を受けるつもりで申告したら、副業分の追加納税で持ち出しになった、というのは実際に起きるケースです。申告するかどうかを決める前に、副業分を含めた税額を一度計算してみてください。
出典: 国税庁「No.1900 給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整で処理された者」(所得税法121条・122条)
落とし穴:住民税の申告は必要
これが最も多い誤解です。
「20万円以下なら申告不要」は所得税に限った話です。住民税にはこのルールが適用されません。
つまり、副業所得が1万円でも、住民税の申告は必要です。
出典: 税金・社会保障教育「住民税の申告とは?副業収入20万以下で申告しないとどうなる?」
住民税の申告をしないとどうなるか:
- 追徴課税:申告漏れとして延滞税が加算される可能性
- 国民健康保険料の算定エラー:正しい所得が把握されず、保険料が適切に計算されない可能性(完全独立した場合)
- 各種行政サービスへの影響:所得証明書が正しく発行されない
住民税の申告方法
副業所得が20万円以下で確定申告をしない場合は、お住まいの市区町村の役所に「住民税の申告書」を提出します。
なお、確定申告をすれば住民税の申告は不要です(確定申告の情報が自動的に自治体に連携されるため)。副業所得が20万円を超えている場合は確定申告をするので、住民税の別途申告は不要になります。
実務のコツ
副業エンジニアの場合、月単価10万円以上なら年間所得は確実に20万円を超えます。素直に確定申告をした方が、住民税の別途申告の手間も省けてシンプルです。さらに、源泉徴収で払いすぎた税金が還付される可能性もあります。
事業所得 vs 雑所得:どちらで申告するか
副業の確定申告で最初に迷うのが、「事業所得」と「雑所得」のどちらで申告するかです。
判断基準
2022年10月の国税庁通達(修正版)により、以下の基準で判断されます。
事業所得として認められる条件:
- その活動が社会通念上「事業」と言える程度で行われている
- 帳簿書類を作成・保存している
雑所得になるケース:
- 帳簿書類の保存がない
- 収入が少額で、事業と言えるほどの規模・継続性がない
出典: 弥生「副業300万超は帳簿があれば事業所得になる?」
エンジニアの副業はどっち?
フリーランスエージェント経由で月単価50〜80万円の案件を受けている場合、事業所得として認められる可能性が高いです。
ポイントは:
- 継続性がある(単発のお手伝いではなく、契約期間がある)
- 反復性がある(毎月報酬が発生する)
- 帳簿を付けている(freeeやマネーフォワードで記帳している)
ただし、週末に数時間だけ作業して年間数十万円程度の場合は、雑所得と判断される可能性もあります。判断に迷う場合は税理士に相談してください。
事業所得のメリット
事業所得で申告するメリットは大きいです。
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 青色申告特別控除 | 複式簿記+貸借対照表の添付+期限内申告で55万円。さらにe-Tax申告か優良な電子帳簿保存で65万円(措法25条の2) |
| 赤字の繰り越し | 赤字を3年間繰り越して翌年以降の所得と相殺できる(連続して確定申告書を提出していることが条件。所得税法70条) |
| 少額減価償却 | 40万円未満の資産を年間合計300万円まで一括で経費にできる(措法28条の2。令和8年4月1日以後の取得分。それ以前は30万円未満) |
65万円控除でつまずきやすいのは期限内申告の要件です。複式簿記で記帳していても、申告が3月15日を過ぎると控除は10万円まで下がります。
特に青色申告特別控除65万円は節税効果が大きく、所得税率20%の人なら所得税だけで約13万円、住民税10%分(約6.5万円)を含めると約19.5万円の節税になります。
事業所得で申告するために必要なこと
- 開業届を税務署に提出する(開業した年分の確定申告期限まで。所得税法229条)※出典: 国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」
- 青色申告承認申請書を提出する(適用を受けたい年の3月15日まで。その年の1月16日以後に開業した場合は開業日から2ヶ月以内)※出典: 国税庁「青色申告制度」
- 帳簿を付ける(freee、マネーフォワード、弥生会計などのクラウド会計ソフトがおすすめ)
- 領収書・請求書を保存する(電子データでもOK)
注意
開業届を出すと「個人事業主」になりますが、会社員を辞める必要はありません。開業届は「事業を始めました」という届出であり、会社の退職とは無関係です。ただし、会社の就業規則に「開業届の提出禁止」がある場合は注意が必要です。
副業エンジニアの経費になるもの
経費の基本ルール
経費として認められるのは、副業の業務に直接関係する支出です。プライベートと業務の両方で使っているものは、家事按分(使用割合に応じて経費を按分する)で計上します。
経費になるもの一覧
| 勘定科目 | 具体例 | 按分の目安 |
|---|---|---|
| 消耗品費 | キーボード、マウス、モニター(10万円未満) | 業務使用割合 |
| 減価償却費 | PC(10万円以上)、タブレット | 業務使用割合 |
| 通信費 | インターネット回線、スマホ代 | 業務使用時間の割合(例: 1日3時間業務使用 / 8時間使用 = 37.5%) |
| 家賃(地代家賃) | 自宅の一部を作業場として使用 | 作業部屋の面積割合(例: 6畳 / 全体40畳 = 15%) |
| 水道光熱費 | 電気代 | 業務使用時間の割合 |
| 書籍代(新聞図書費) | 技術書、Udemy等のオンライン講座 | 業務関連のもの100% |
| サブスクリプション | GitHub、Figma、AWS、Vercel等 | 業務使用のもの100% |
| 交通費(旅費交通費) | クライアント先への出社交通費 | 業務目的100% |
| 会議費 | クライアントとのカフェ打ち合わせ | 業務目的100% |
出典: 税理士法人植村会計事務所「副業ITエンジニアの経費まとめ」
PCの経費計上
エンジニアにとってPCは最大の経費です。
- 10万円未満:消耗品費として一括経費
- 10万円以上20万円未満:一括償却資産として3年で均等償却(青色申告なら40万円未満まで一括経費OK)
- 40万円以上:固定資産として耐用年数(PC: 4年)で減価償却(白色申告の場合は20万円以上から)
副業で使うPCをプライベートでも使っている場合は、業務使用割合で按分します。例えば、1日の使用時間8時間のうち業務が3時間なら、按分率は37.5%。30万円のPCなら、初年度に30万円 × 37.5% = 112,500円を経費にできます(青色申告の少額減価償却特例を使う場合)。
この特例の対象は、令和8年度税制改正で「30万円未満」から**「40万円未満」に広がりました**(令和8年4月1日以後に取得したものが対象。それ以前に取得したものは30万円未満のままです)。適用期限も令和11年3月31日まで延びています。
また10万円・20万円・40万円の線引きは、按分する前の取得価額そのもので判定します(按分後の金額で判定することはできません)。年間の合計300万円までという上限もあります(措法28条の2)。
注意
按分率は「合理的に説明できる」根拠が必要です。「なんとなく50%」ではなく、業務ログや利用時間の記録を残しておきましょう。税務調査で説明を求められたときに、根拠を示せることが重要です。
勤務先に知られたくない場合の住民税対策
なぜ副業が勤務先に知られるのか
副業が勤務先に知られる主な経路は住民税です。
仕組みはこうです:
- 確定申告をすると、副業分の所得が自治体に連携される
- 自治体は「本業 + 副業」の合計所得で住民税を計算する
- 計算された住民税が本業の会社に通知される(特別徴収)
- 会社の給与担当が「この人の住民税、給料に対して高くない?」と気づく
対策:住民税を「普通徴収」にする
確定申告書の第二表に「住民税の徴収方法」を選択する欄があります。ここで**「自分で納付(普通徴収)」**を選択します。
これにより、副業分の住民税は自宅に届く納付書で自分で支払うことになり、会社には本業分の住民税のみが通知されます。
普通徴収の注意点
- すべての自治体が対応しているわけではない:一部の自治体では、普通徴収を選択しても特別徴収(給与天引き)に統合されるケースがあります。お住まいの自治体に事前に確認してください
- 確定申告書の記入ミスに注意:「自分で納付」にチェックを入れ忘れると、自動的に特別徴収になります
- 副業が「給与所得」の場合は対策が難しい:フリーランス案件(事業所得・雑所得)の場合は普通徴収を選択できますが、アルバイトなどの給与所得は原則として特別徴収に合算されます
参考
会社に副業を申告済みの場合は、住民税の対策は不要です。むしろ、堂々とやる方が精神的にも楽です。副業フリーランスの始め方でも解説していますが、可能であれば会社に報告した上で始めることをおすすめします。
確定申告の具体的な流れ
年間スケジュール
| 時期 | やること |
|---|---|
| 1月〜12月 | 収入と経費を記帳する(クラウド会計ソフトで自動化推奨) |
| 12月 | 本業の年末調整を受ける(副業分は含めない) |
| 1月 | エージェントや取引先から支払調書が届く(届かない場合もある) |
| 2月16日〜3月15日 | 確定申告書を作成し、e-Taxまたは税務署に提出 |
| 3月〜4月 | 還付がある場合、1〜2ヶ月で指定口座に振り込まれる |
| 6月 | 住民税の通知が届く(普通徴収を選択した場合は自宅に届く) |
必要な書類
- 源泉徴収票(本業の会社からもらう)
- 支払調書(エージェントや取引先から届く。届かない場合は自分で集計)
- 経費の領収書・レシート(電子データ可)
- クラウド会計ソフトの集計データ
- マイナンバーカード(e-Taxで提出する場合)
おすすめのクラウド会計ソフト
副業エンジニアに人気のクラウド会計ソフトは以下の3つです。
- freee:スマホアプリが使いやすい。初心者向け
- マネーフォワード確定申告:銀行・カードの自動連携が強い
- 弥生会計オンライン:初年度無料プランあり
どれを選んでも機能に大差はありません。**最も重要なのは「帳簿を付ける習慣をつけること」**です。確定申告の直前にまとめて入力するのではなく、月に1回は記帳する癖をつけましょう。
源泉徴収されている場合の還付
個人への報酬で源泉徴収の対象になるのは、所得税法204条1項に列挙されたものに限られます。原稿料・講演料・デザインの報酬・士業の報酬などがそれにあたり、システム開発やプログラム作成は条文にも政令にも含まれていません=原則として源泉徴収の対象外です。
一方でデザインの報酬は対象です(所得税法204条1項1号。通達204-7が挙げているのは工業・クラフト・グラフィック・パッケージ・広告・インテリア・ディスプレイ・服飾などです)。UI/UXデザインは通達に明示がありませんが、これを対象として扱う支払側が実際にあります。経営コンサルティングも「企業診断員」として対象です(所得税法施行令320条2項)。開発とデザインの両方を請ける方は、契約の書き方で扱いが変わります。
そのうえで実務では、判断が難しいことを理由に対象を広めにとって天引きしているエージェントがあります。たとえばTECH STOCKは、よくある質問で「源泉徴収の対象となる支払いには、フリーランスのITエンジニア/IT関連業務の報酬も含まれます」と案内しています(TECH STOCK よくある質問、2026年8月確認)。報酬から**10.21%**が引かれているかどうかは、支払通知書で確認してください。
例えば、月単価70万円の場合:
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 報酬(税抜) | 700,000円 |
| 消費税(10%) | 70,000円 |
| 源泉徴収税(10.21%) | -71,470円 |
| 振込額 | 698,530円 |
この源泉徴収税は仮払いです。確定申告で正確な税額を計算した結果、払いすぎていた分が還付されます。
源泉徴収税率は、同一人に一回に支払われる金額のうち**100万円以下の部分が10.21%、100万円を超える部分は20.42%**です(所得税法205条1号、復興特別所得税を含む)。なお報酬額と消費税額が請求書上で明確に区分されていれば、上の表のように税抜額のみを源泉徴収の対象として差し支えありません。
特に副業の場合、本業の給与所得控除や各種控除が先に適用されているため、副業分にかかる税率は本業の課税所得の水準で決まります。本業の課税所得が195万円以下なら所得税の限界税率は5%(復興特別所得税込みで5.105%)なので、源泉徴収税率10.21%を下回り還付になります。195万円を超えると限界税率10%=復興特別所得税込みで10.21%となり、源泉徴収税率とちょうど同じです。この帯で還付が出るかどうかは、経費や青色申告特別控除でどれだけ圧縮できるかによります。330万円を超えて税率20%の帯に入ると、追加納税になるケースが増えます。確定申告をすることで数万円〜数十万円が還付される可能性があります。
実務のコツ
「面倒だから確定申告したくない」と思うかもしれませんが、源泉徴収されている場合は確定申告をしないと精算されません。上のとおり本業の課税所得によって還付にも追加納税にもなるので、まず計算してみてください。青色申告特別控除や経費で課税対象を圧縮できるため、正しく申告する意味は大きいです。
よくある質問
Q. 開業届を出すと失業保険がもらえなくなる?
はい、原則として開業届を出していると、退職時に失業保険(雇用保険の基本手当)を受給できません。失業保険は「就職する意思と能力があるが、就職先が見つからない状態」の人に支給されるもので、開業届を出している=自営業をしている、と判断されるためです。
ただし、副業程度の規模で本業の退職後に廃業届を出せば受給できるケースもあります。詳しくはハローワークに確認してください。
Q. 副業の赤字を本業の給与所得と相殺できる?
事業所得の場合は可能です(損益通算)。副業の赤字を本業の給与所得から差し引くことで、所得税の還付を受けられます。
ただし、雑所得の場合は損益通算できません。これが事業所得と雑所得の大きな違いの1つです。
なお、意図的に赤字を作って給与所得と相殺する行為は、税務署から否認されるリスクがあります。経費は実態に基づいて計上してください。
Q. 本業の年末調整で副業のことを申告する必要はある?
不要です。年末調整は本業の給与所得に対する手続きです。副業分は確定申告で別途申告します。年末調整の際に副業収入を会社に報告する必要はありません。
Q. インボイス制度は副業に影響する?
取引先(エージェントやクライアント)から「インボイスを発行してほしい」と求められるケースが増えています。インボイスを発行するには適格請求書発行事業者に登録する必要があり、登録すると消費税の課税事業者になります。
免税事業者かどうかは、その年の売上ではなく前々年(基準期間)の課税売上高が1,000万円以下かで判定します。加えて、前年の1月1日〜6月30日(特定期間)の課税売上高が1,000万円を超える場合も課税事業者になります(消費税法9条・9条の2)。ただし特定期間の判定は、課税売上高に代えてその期間に支払った給与等の金額で行うことも選べます(9条の2第3項)。従業員も専従者もいない一人のフリーランスは給与等の支払いが0円なので、この選択をすれば特定期間で課税事業者になることはありません。実質的には基準期間(前々年)の1,000万円を見ておけば足ります。
ただしこれは、登録しない場合に免税事業者でいられるかという話です。いったん適格請求書発行事業者に登録すると、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも免税事業者には戻りません。消費税法9条1項が、免税の対象から「適格請求書発行事業者を除く」と定めているためです。登録は一度きりの判断ではなく、毎年の申告義務が続くという意味を持ちます。
インボイス登録をすると消費税の申告・納税義務が発生しますが、納税額は売上の10%まるごとではありません。免税事業者からインボイス発行事業者になった方には2割特例があり、納付税額を売上にかかる消費税額の2割に抑えられます。事前の届出は不要で、確定申告書にその旨を付記するだけで使えます(平成28年改正法附則51条の2)。
この2割特例は、令和8年9月30日までの日の属する課税期間で終了します。1月〜12月が課税期間になる個人事業者なら、令和8年分が最後です(令和5年10月1日から登録した方なら令和5年分〜令和8年分の計4回。それより後に登録した方は回数が減ります)。
令和9年分からは3割特例に切り替わります
2割特例のあとを引き継ぐのが、令和8年度税制改正で創設された3割特例です。令和9年分・令和10年分について、納付税額を売上にかかる消費税額の3割にできます。2割から3割になるぶん負担は増えますが、原則どおりの計算よりは軽く済みます。
3割特例で押さえておきたい点が3つあります。
- 対象は個人事業者だけです。2割特例は法人も使えましたが、3割特例に法人は含まれません
- 手続きは2割特例と同じで、事前の届出は不要です。確定申告書にその旨を付記します
- 適用できるのは、免税事業者からインボイス発行事業者になったこと(または課税事業者選択届出書を出したこと)によって課税事業者になった課税期間に限られます。判定は年ごとで、令和9年分は令和7年、令和10年分は令和8年の課税売上高が1,000万円以下であることが条件です。途中で1,000万円を超えた年があると、その2年後の年分は使えません
令和11年分からは、この特例もなくなります。原則どおりの計算(本則課税)か、簡易課税かを選ぶことになります。
簡易課税は、エンジニアには不利になりやすい
特例の終了に備えて簡易課税を検討する方もいると思いますが、エンジニアの場合はよく確かめてからにしてください。
簡易課税は業種ごとに決められた「みなし仕入率」で納付税額を計算する制度です。ソフトウェア業や情報処理・提供サービス業は第五種事業にあたり、みなし仕入率は50%(消費税法施行令57条)。つまり納付税額は売上にかかる消費税額の5割になります。3割特例の3割より重いので、特例が使えるうちは3割特例のほうが有利です。
しかも簡易課税は、いったん選ぶと原則2年間はやめられません(消費税法37条6項)。基準期間の課税売上高が5,000万円以下であることも要件です(同条1項)。経費のうち消費税のかかる支払いの割合が高い場合は、本則課税のほうが有利になることもあります。
なお、届出期限には特例があります。簡易課税は本来、適用を受けたい課税期間が始まる前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を出しておく必要がありますが、2割特例・3割特例を使った方は、その翌課税期間の確定申告期限までに提出すれば、その翌課税期間から適用できます。届出書に「どの課税期間から適用を受けるか」を明記する必要がある点に注意してください(適用を受けたい年そのものを書きます)。記載がないと通常どおりの扱いになり、適用が1年ずれます。
出典: 国税庁「インボイス制度に関する令和8年度税制改正について」、国税庁「2割特例」、国税庁「No.6509 簡易課税制度の事業区分」(3割特例の根拠は平成28年改正法附則51条の3第1項)
副業確定申告チェックリスト
年間を通じて
- クラウド会計ソフトを導入して記帳を始めた
- 経費の領収書・レシートを保存している(紙 or 電子)
- 副業の収入と経費を月1回は記帳している
確定申告の前(1月〜2月)
- 本業の源泉徴収票を受け取った
- 副業の年間収入を集計した(支払調書がない場合は請求書・振込明細から)
- 経費を集計し、按分率を確定した
- 事業所得 or 雑所得の判断をした
確定申告書の作成
- 確定申告書の第一表・第二表を作成した
- 住民税の徴収方法で「自分で納付(普通徴収)」を選択した
- 源泉徴収税額を正しく記入した(還付がないか確認)
- e-Taxまたは郵送で期限内(3月15日)に提出した
まとめ
- 20万円ルールは所得税の話。住民税の申告は副業所得の金額に関わらず必要
- 副業エンジニアなら**事業所得(青色申告)**が有利。帳簿を付けて65万円控除を活用しよう
- 開業届を出しても会社を辞める必要はない
- 勤務先に知られたくない場合は住民税の**「普通徴収」**を選択する(確実な方法ではない)
- 源泉徴収されているなら確定申告で精算される。本業の課税所得が195万円以下なら還付になりやすい
- 経費の按分は合理的な根拠を記録しておく
- 迷ったら税理士に相談。特に初年度は相談した方が安心
エージェントへの登録がまだの方はエージェント3社比較を、副業の始め方全般については副業フリーランスの始め方をご覧ください。資金面の計画は資金計画の記事で詳しく解説しています。
フリーランスエンジニア|エンジニア歴14年・100超のプロジェクト経験|Next.js / Laravel / AWS / GCP / Firebase / Supabase / OpenTelemetry
正社員 × フリーランス × 技術顧問のハイブリッド型で活動中。 得意領域はアプリケーション設計と、技術 × 戦略を一気通貫で回す 0→1 の立ち上げ。1→10 のブラッシュアップも数多く経験してきた。 営業出身からエンジニアに転身し、SES・受託・自社サービス・スタートアップ、合同会社の経営まで全部経験。省庁・金融・医療など業界も選ばず、14年で100超のプロジェクトに関わっている。エンジニア採用の経験もあり、採用する側の視点も持っている。
エージェント選びは、データで比較しよう
フリーランスエージェント15社を、出典付きの公開データと編集部の6軸評価で比較できます。掲載順は広告提携の有無と無関係です。
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